「霧の旗」は、兄の弁護を断られた娘が、高名な弁護士に過酷なまでの復讐を果たしていく様を描く松本清張の代表作のひとつ。正義を主張するためには金がかかるという裁判制度の矛盾をつき、社会派推理と言われた清張の真骨頂を示す作品だ。過去に何度も映像化されていることからもわかるように、映像作品としての見せ場をたっぷりと備えている。主役の弁護士には
古谷一行 。そして、かつて倍賞千恵子、山口百恵らが映画で演じたヒロインに
星野真里 が挑む。静かに復讐の炎を燃やし、身内に渦巻く愛憎を弁護士にたたきつけるようにして、破滅の淵に追い落としてゆく星野の演技も見ものだ。